カラーレジスト開発の歴史

カラーレジストの開発の歩み

当社(東洋インキ)が、初めてカラーフィルタ用RGB色材(カラーレジスト)の開発に取り組んだのは、およそ30年前の出来事です。1983年より、ポジ型のポリイミド系レジストの開発を開始。その後、1990年に液晶パネルなどの量産ラインで使用されてからは、主流のネガ型レジストの開発をリードしてきました。

図1 カラーレジストの開発の歴史

90年代に入ると、大型テレビの需要も増え、液晶パネルメーカーは、世代向上ごとにそのガラス基板(G)サイズの大型化に努めてきました。そのような開発競争においては、液晶の歩留まり(良品率)を上げてコストを下げるために、ガラス基板は大きい方が有利になります。そこで当社は、ガラス基板の大型化にともない、カラーレジストへの要求性能(塗膜、感度、塗工プロセス)の向上に努めてきました。2001年からは、台湾でのG5を手始めとして、現在ではG10大型基板向け製品も提供し、液晶パネルの量産性能向上に寄与しています。そのほか製品の機能性向上に応じて、高コントラストタイプや高明度タイプ、染料タイプのレジストも開発。あらゆる薄型ディスプレイのカラー化を担ってきました。

図2 ガラス基板のサイズの変遷

カラーレジストの開発秘話

当社でカラーレジストの製造が事業として本格化し始めたのは、1988年頃からでした。そもそもの開発のきっかけは、80年代初期に、さるクライアントからレジストインキの共同開発をもちかけられたこと。その後、液晶テレビやIT機器の増産にともない、2000年に守山工場を建設するまでは、東京・板橋区にある工場の一角で、ひっそりと研究が行われていたのです。そしてその研究所に集められたのが、ベテラン社員1名と新人2名でした。

立ち上げ当初、カラーフィルタに関する知識をもっていたのは1名のみだったため、まさに手探りの状態から開発が進められました。その頃はカラーフィルタの製造方法も開発途中の段階で、現在主流を占める「顔料レジスト法」のほかに、「染色法」、「PIエッチング法」、「電着法」や「印刷法」といった製造方法も検討されていました。当初、顔料レジスト法は染色法に比べて、カラーフィルタのコントラスト比が大きく劣っていましたが、これは顔料粒子による光の散乱が大きかったことが原因でした。そこで顔料の微細化処理を行い粒子を細かくすることで、高コントラストを実現する方法が生み出されたのです。

表1 1980年代のカラーフィルタの製造方法

また、カラーレジストをガラス基板に定着させるだけでも大変な苦労があったといいます。開発初期は、ガラス基板上に定着させるために、レジストの上に酸素遮断膜であるポリビニルアルコールを塗布し、その上で紫外線を露光して、現像、パターンを形成するという段階を踏んでいました。ところが、この酸素遮断膜を塗布することで、相当な時間とコストがかかってしまうため「この工程を省くことはできないか」という要求が出てきました。当時の常識では、空気中でレジストを露光してパターンを形成するなど、考えられないこと。何度やっても露光が上手くいかず、現像するとレジスト塗膜がきれいになくなってしまうといった失敗が続いたそうです。しかしその後も粘り強く試行錯誤を続けた結果、光開始剤の種類と配合量を適正化することで、塗膜を定着させることに成功。この技術は、現在のカラーフィルタの製造にもしっかりと受け継がれています。

90年代に入ると、液晶パネルの大型化や増産にともない、カラーレジストの生産量も飛躍的に上昇しました。96年から05年の約10年で事業利益も約10倍に増加。2000年にはカラーレジスト製造のための守山工場を建設するなど、会社の屋台骨を支える一大事業にまで成長を遂げました。この頃になると、国内の電機メーカーはこぞって液晶テレビの新商品を開発。それにともないテレビ用カラーフィルタも、1年ごとに新製品が開発されるなど、スペックに対する要求が高くなっていきました。

なかでも求められたのが、高いコントラスト(明暗の差)です。そのためには顔料の粒子のサイズを小さくして光の散乱を低減する必要がありますが、一方で粒子を細かくするほど分散が難しくなりレジストが不安定になりやすいといった欠点がありました。そこで当社では、より明るく、より鮮やかな画面を実現するために、分散技術の進化や光を通しやすい新しい顔料の開発に着手。試行錯誤を続けながら、幅広く高度なニーズに対応できるカラーレジストの開発を進めていきました。

その後、液晶テレビの国内需要が落ち着く一方で、台湾や韓国、中国といったアジア諸外国でのニーズが増加。大きなサイズのガラス基板工場が相次いで増設されたこともあり、製造の拠点は海外に移っています。それと入れ替わるように、現在、国内では新たにオンチップ用カラーレジストのニーズが高まりつつあります。スマートフォンやデジタルカメラなど、多用途・多機能な製品に搭載されることで、カラーレジストもさらなる機能性の向上が求められているのです。

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