FPDのしくみ

FPDの種類

FPD(フラットパネルディスプレイ)とは、薄く平らな画面(および筐体)を持つ映像表示装置の総称です。長らく主流を占めていたCRT(ブラウン管)ディスプレイに比べて、省スペースで画面の歪みが少なく、大型化が比較的容易であることから、2000年代初期から本格的に普及しはじめました。現在はテレビのほか、スマートフォンやパソコン、タブレット端末など、生活に欠かせないさまざまな電化製品に搭載されています。

FPDは、映像の表示方式の違いにより、いくつかの種類に分けられます。代表的なものに、液晶ディスプレイ(LCD)、有機ELディスプレイ(OLED)、プラズマディスプレイ(PDP)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、電子ペーパーなどがあります。現在はFPDの高性能・多機能化が進んでいますが、登場初期は、消費電力が大きい、輝度や発色が弱い、応答時間が遅いといった、さまざまな技術的な課題を抱えていました。そのため各メーカーの試行錯誤により、さまざまな方式によるFPD製品が開発されたのです。開発当初は、それぞれの製品に求めるスペックや大きさによって、表示方式が使い分けられていましたが、現在は液晶ディスプレイの技術革新が進み、ほぼ一人勝ちの状態となっています。

ディスプレイデバイスの種類

液晶ディスプレイの基本構造

液晶ディスプレイは、液晶の性質を利用して映像を表示するFPDです。液晶は、固体(結晶)と液体の中間状態の物質で、電圧をかけることで分子の並び方が変化する性質を持っています。

液晶ディスプレイの内部構造

液晶ディスプレイの断面図

下は、液晶ディスプレイの断面図です。ディスプレイに映し出される映像は、非常に小さな色の点である画素(ピクセル)の組み合わせによって表現されています。さらにこの画素は、R・G・B(レッド・グリーン・ブルー)の3つのサブピクセルによって構成されています。このサブピクセルには、1つずつ小さな電極が配置されており、これにより液晶層に電圧をかけることで、液晶の分子配列を部分的に変化させ、シャッターのようにバックライトの光を遮ったり、通したりします。こうして画面に映し出される光の明暗を調節することで、さまざまな色彩や階調を表現しています。

液晶ディスプレイの原理(光のシャッター効果)

画面上に豊かな色彩を表現するためには、カラーフィルタから透過する光の量を細かく調節する必要があります。そこでとても大切になるのが、光の方向性(偏光性)です。液晶ディスプレイには、光の方向を調節するためのいくつかの機能が備わっており、これにより透過する光の量を自由自在に変化させることで、色鮮やかな映像を表現しています。

機能1 偏光板の光シャッター機能

偏光板とは、光に方向性を与えるための板のことです。柵のような形をしており、ちょうどサンドイッチのパンの部分のようにディスプレイの両面に1枚ずつ備え付けられています。通常、私たちが自然で目にする光には方向性がなく、あらゆる方向に拡散していますが、この偏光板に光を通すことで、特定の方向以外の光をカットできます。たとえば、偏光板を横向き(水平)になるように設置した場合、柵の隙間を通れる光以外はカットされるため、結果的に光が水平の方向性を持つようになります。

この偏光板を2枚組み合わせることで、透過する光の量をある程度コントロールすることが可能になります。たとえば、光源に対して手前の偏光板を水平に、奥の偏光板を垂直に(90度傾けて)置いた場合、1枚目の偏光板を通過した光は水平の方向性を持っているため、2枚目の偏光板を通過できず、画面上は黒く(発光していない状態で)表示されます。このように2枚の偏光板の傾きを変えることで、(原理的には)画面の明るさを調節することができます。

偏光板の組み合わせによる画面の明るさの違い

機能2 配向膜による液晶分子の整列

ただし、実際の液晶ディスプレイでは、偏光板の傾きは固定されており動かすことができません。そのためディスプレイのちょうど中間に位置する液晶層をコントロールすることで、光の方向性を調節しています。

先ほどご説明したように、液晶は固体(結晶)と液体の中間状態の物質です。この液晶の分子は、通常は緩やかな規則性をもって並んでいますが、溝を掘った板が近くにあると、その溝の向きに沿って分子が規則正しく整列する性質があります(下図)。この溝を掘った板のことを「配向膜」といい、配向膜は液晶層をはさむように設置されています。

機能3 電圧による液晶分子のコントロール

液晶ディスプレイでは、偏光板と配向膜を組み合わせ、さらに電圧によって液晶分子の向きをコントロールすることで、ディスプレイを透過する光の量を調節しています。どういうことか、順を追って見ていきましょう(※ここでご紹介するのは一例です)。

まず、ディスプレイの両面に設置された2枚の偏光板は、偏光面が直行状態(90度傾いた状態)になります。そのためバックライト(光源)に対して手前の偏光板を通った光は、奥側(2枚目)の偏光板に遮られて、ディスプレイを透過できません。そこで光の方向を変えるために、配向膜が利用されます。液晶層の両面に貼られた2枚の配向膜は、偏光板と同じく直行状態になっています。このとき配向膜にはさまれた液晶分子は、光源の手前(1枚目の配向膜)から奥(2枚目の配向膜)に進むに従い、溝の向きに沿って体を起こすように90度ねじれる状態になります。これにより液晶層を通過する光も90度ねじれ、奥側の偏光板を通過できるようになります。

光シャッターの原理

俯瞰図
横図

ただしこれだけなら、わざわざ間に液晶層をはさむ必要がありません。そこで重要になるのが、電圧による液晶分子のコントロールです。液晶分子は、電流の流れる方向に沿って平行に整列する性質があります。これにより液晶分子に電圧がかかると、配向膜による分子のねじれがなくなるため、光は偏光板を通過できなくなります。従って、光を通したいときは電圧をオフに、光を遮りたいときは電圧をオンにすればよく、これによりディスプレイの光の明暗を細かく表現することが可能になります。さらに電圧の高低によって、分子の微妙な傾きも操作できるため、サブピクセルごとに色の濃淡を表現することも可能です。

電圧による液晶分子の配列変化

液晶分子の配列変化のイメージ図

液晶ディスプレイのコントラスト比

映像を美しく見せる上で、もう一つ重要になるのが「コントラスト比」です。コントラスト比とは、最も明るい部分(白表示)と最も暗い部分(黒表示)の輝度の差を表したものになります。

バックライトから放たれた光は、カラーフィルタを通過することで任意の色(赤、緑、青)を帯びますが、このときカラーフィルタの中に含まれる顔料粒子によって、光が一部拡散されます。この散乱によって光の方向性がずれるため、白表示では散乱光の一部が2枚目の偏光板を透過できずに輝度が落ちる一方、黒表示では散乱光の一部が2枚目の偏光板を透過して光が漏れてしまいます。つまり顔料粒子による光の拡散が大きくなるほど、コントラスト比が低下し、全体的にぼんやりとしたメリハリのない画面になってしまいます。

コントラスト比の違いによる画面の見え方の違い

これを改善するには、高コントラストタイプのカラーレジストを用いる方法がおすすめです。カラーフィルタの輝度が向上する一方で、漏れ光も少なくなるため、コントラスト比が上がり、くっきりとした見やすい画面になります。

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